キャリアの後悔は人生の後悔
こんな研究があります、2012年にコーネル大学が1500人の老人に「人生で最も後悔した事は？」と尋ねたところ、一番多かったのは、キャリア選択への未練の言葉でした。
日本の場合は、「仕事を第一にしすぎた」や「働きすぎてプライベートをなくした」といった答えを返す老人が多く、仕事と生き方が密接に結びついた日本人の国民性がうかがえるでしょう。
昇進に目がくらんで同僚から嫌われた、長時間労働で体を壊した、苦しい仕事から逃げてしまった…。
老人たちの多くは、人生の終盤になってもなお、自らのキャリア選択を悔やみ続けていたのです。
なぜ私たちはキャリア選びに失敗するのか？
ハーバードビジネススクールでの調査によると、
就職と転職の失敗は、およそ7割が「視野狭窄」によって引き起こされる。というものです。
「視野狭窄」とは、ものごとの一面しか注目できなくなり、その他の可能性をまったく考えられない状態を意味します。
一例を挙げれば、調査の中で最も多かった失敗は、「下調べをしっかりしなかった」というものでした。
視野狭窄は、どんな優秀な人間にも起きる。
・お金に釣られる
・「逃げ」で職を決める
・自身がありすぎる、またはなさすぎる。
これは、ハーバードビジネススクールの研究チームがあげた、視野狭窄の定番パターンです。
いずれのパターンにせよ、仕事探しの一部のポイントしか目が向かず、もっと良い可能性を考えられない状態です。
あとこんな例もあります…
「ひとつの転職エージェントや友人の紹介だけをもとに転職を決めたら、まったく社風になじめない会社だった」
「就職した企業が自分に合ってないのに、『転職しても改善するとは限らないし…』などと考えてしまい、いつまでもダラダラと居座ってしまう」
「憧れの会社に入ったまでは良かったが、時間が経つうちに『もっと良い仕事があるのではないか？』と思えてきた」
どんなに夢見た仕事に就こうが、長期間にわたって同じ喜びが続くはずはありません。
にも関わらず、大抵の人は夢がかなった後の感情を高く見積もりすぎ、結果として大きな落胆を味わうことになります。これは「インパクト・バイアス」と呼ばれるバグの一種です。
意思決定の精度を高め、正しいキャリアを選びとる確率を上げる
・後悔の少ない意思決定をするにはどうしたら良いのか？
・私たちに本当の喜びをもたらす働き方とは何か？
・「人生の選択」という正解のない悩みにどうやって答えをだせばいいのか？
これらのベーシックな問いに取り組まない限り、どのようなキャリアアドバイスも表面的なものに終わりかねません。
人の根本的なメカニズムを押さえずに目先の助言だけを求めるのは、病気の原因を知らずに薬やサプリを飲み続けるようなものだからです。
科学的な適職
鈴木祐
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